ラピアクタ,イナビル(抗インフルエンザウィルス薬)

 

こんにちは,いし胃腸科内科の松原央です.

 

昨日,国内で使用できる4番目の抗インフルエンザウィルス薬が発売されました.

 

その名は,『イナビル

 

診断後に,1回の治療でタミフル内服5日間と同等の治療成績でした.

 

1回の治療というのは,上の製剤を2吸入するだけです.

 

これまで使われていたタミフルやリレンザは5日間の内服,吸入が

 

必要でしたが,イナビルは診断がついた日に吸入するだけです.

 

薬剤を受け取って,服薬指導を受けたら.すぐに使用した方が良いでしょう.

 

気になるのは,子どもへの使用です.

 

国内では,3歳以上10歳未満を対象とした臨床試験が行われたようです.

 

タミフルとの非劣勢試験でしたが,イナビル使用群で罹病時間が56.4時間,

 

タミフル使用群は87.3時間と有意差を持って短縮させたとあります.

 

この試験における小児の副作用は,276例中15例でした.

 

主な症状は,下痢・嘔吐,せん妄・異常行動・語唱とあり,インフルエンザの

 

症状としても発現するものなので,薬剤が原因なのかはわかりません.

 

ただし,幼児では吸入が難しかったようでしたが,

 

小学生以上なら上手にできる子が多かったようです.

 

詳しくは,第一三共のホームページでご確認ください.

(インフル・ニュースからリンクされています.)

 

また,第一三共からインフルエンザに関するページがアップされています.

インフル・ニュース

 

非劣勢試験

 比較薬剤よりも臨床的に劣らないことを示すことが目的の試験

 

 

 

そして,もう1つ.

 

実は今年初め(1月27日)に発売された『ラピアクタ』という注射製剤です.

 

新型インフルエンザの流行期が落ち着いてきた頃だったので,

 

初めて耳にした方も多いかもしれません.

 

こちらは現時点では成人のみの適応ですが,

 

今月中に?小児へも適応となるようです.

 

投与を受けた方の話によると,翌日には解熱してスッキリ?したそうです.

 

注射製剤なので,罹患者全員にという訳にはいきません.

 

15分以上かけての点滴になるので,専用のスペースがないと難しいです.

 

ただし,高齢者,慢性の呼吸器疾患をもつ方,免疫抑制状態にある方などは

 

有効性が期待できると思われます.

 

気になる試験成績は,通常量(300mg)の投与で罹病期間が59.1時間.

 

プラセボ群で81.8時間(薬が入っていない群)でした.

 

また,平熱(37.0℃未満)に回復するまでの時間は300mg投与群で

 

32.8時間,タミフル群で37.3時間とあります.

 

投与群の24時間後では,実に50%以上の方が平熱になったそうです.

 

こちらの副作用は,下痢・悪心,白血球減少,好中球減少でした.

 

小児に対する成績は,今後発表される予定です. 

 

もちろん塩野義製薬からのインフルエンザに関するサイトもあります.

インフルエンザ治療について

 

 

さて,それでは今シーズンにインフルエンザに罹った小児患者は

 

どのような治療法を選択したらよいのでしょうか?

 

ラピアクタが小児に承認されたら,重症者,高リスク患者.

 

これまで10歳以上はリレンザのみでしたが,リレンザ,イナビルのどちらか.

 

5歳以上10歳未満は,タミフル,リレンザ,イナビルからの選択です.

 

1歳以上5歳未満はタミフル.

 

1歳未満でしたら抗インフルエンザウィルス薬は使用せず.

 

以上が基本パターンでしょう.

 

もちろん,全て年齢層で抗インフルエンザウィルス薬は使用せず

 

漢方薬の麻黄湯を使用する医療機関もあると思います.

 

 

もちろん当院では,患者さんや保護者と相談して使用薬剤を決定します.

 

受診した際には,疑問点などをご相談ください.

 

 

 

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