ウィルス性下痢症(ロタウィルス腸炎)

こんばんは,いし胃腸科内科の小児科医の松原央です.

 

今日は,夕方から札幌小児科医会の講演会に出席してきました.

 

そこで,配布されていたのが医療者向けの冊子,

 

ロタウィルス感染予防啓発のための学術情報冊子

 

そこで学んだのが,小児に多いロタウィルスがノロウィルスに

 

遅れて年明けから春にかけて増えているということ.

 

学生時代に学んだのは,ロタウィルスは冬季下痢症.

 

今日の講演会でも,ロタウィルスが昔と比べて春に多くなったが,

 

その理由は分からないと言っていました.

 

下に示す,国立感染症研究所の感染症情報センターのデータでも,

 

年末頃から黄色のロタウィルスの検出がみられ始め,10週台に

 

ピークを迎えているようです.

 

また,患者数はノロウィルスの方が多く,重症化はロタウィルスの方が高い.

 

脳症の後遺症も,インフルエンザは25%に対し,ロタウィルスは38%.

 

ほかの合併症として,麻痺性イレウス,腸重積,痙攣などがあります.

 

罹患して重症化しやすいのは,6ヶ月から2歳までで,

 

年長児や成人では,軽症か無症状のことが多いようです.

 

しかし,成人感染のピークが20~30歳代と,50~60歳代で,

 

乳幼児の親や祖父母にあたる年代のため,お子さんがロタ腸炎の場合,

 

不顕性感染として伝染しているかもしれませんね.

 

ロタウィルスは,感染力が強く,わずか0.01ml程度でも,

 

下痢便が付着した手で生食料理を調理すると1万人を

 

感染させるウィルス量になるそうです.

 

下痢や嘔吐の処理をした場合の手洗いは非常に大切です.

 

ロタウィルス感染の治療法は,特効薬がないために水分と塩分の

 

補充のみです.経口補液できない場合には,点滴の治療になります.

 

高度な脱水では,入院治療も必要になります.

 

予防対策は,ロタウィルスに対するワクチンです.

 

世界120カ国以上で認可が下りており,日本国内での

 

承認も近いと聞いております.

 

その場合,2回または3回の内服になるようです.

 

乳児期のワクチンが増えることになりますが,重症化し,

 

後遺症も残る可能性のある疾患ですので,早期の

 

承認が望まれます.

 

 

追記(平成23年12月)

当院でも,ロタウィルスワクチン(ロタリックス)の接種を開始しました.

予防接種のページへ

 

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