こんばんは,いし胃腸科内科の小児科医の松原央です.
最近,インフルエンザ関連のキーワードでブログに来ている方が多いので,
今日はインフルエンザのお話です.
インフルエンザの罹患した場合,保育園,幼稚園,小学校などの学校や職場に
「いつになったら行って良いのか」と質問を受けます.
学校保健法では,インフルエンザは以下のように定められています.
「解熱した後,2日を経過するまで」
昭和33年に施行されたものですから,抗インフルエンザ薬が登場した
21世紀には適さないかもしれませんね.
こちらは,2007年1月の日経メディカルオンラインの記事.
「解熱時からの経時的ウイルス残存率」です.
インフルエンザA型,B型は共に,解熱後3日でも、10数%に残存しています.
先ほどの,学校保健法に従っても10人に1人以上はウィルスが体内に
残存しています.つまり,この状態でも友達に移す可能性があるということです.
こちらは,2007年11月の日経メディカルオンラインの記事.
「発熱時からの経時的ウイルス残存率」を示したものです.
無治療群とオセルタミビル(タミフル)治療群の比較で,明らかに治療群の
ウィルス残存率は低くなっています.
発熱1日目に迅速検査で陽性になり,直ちに治療を開始しても
治療開始5日目にA型で12%,B型で4%もウィルスが残存しています.
これは,タミフルを飲み続けた結果であり,解熱し,途中で内服をやめた例では,
体内にかなりの量のウィルスが残存し,周囲に排泄している可能性が高い.
そう考えるとタミフルやリレンザ使用例なら,5日間の投与終了後に解熱
していれば良いかと思われます.
こちらは,2010年12月の日経メディカルオンラインの記事.
河合直樹氏による「抗インフルエンザ薬の種類」です.
私も「ラピアクタ,イナビル(抗インフルエンザウィルス薬)」で紹介しました.
これと,ウィルスの残存率を考えると,イナビルのように1回の吸入で,
治療が終了するのは,途中で内服や吸入をやめる例がでないので,
インフルエンザの流行は少しは抑制するのではないでしょうか?
ただし,問題はイナビルが治療1日目しか使わないことです.
「5日間の投与終了後に解熱」のルールが使えません.
医者泣かせな薬剤です.
こちらも,2010年12月の日経メディカルオンラインの記事.
2010-2011シーズンの仕様優先順位アンケートののグラフです.
これまでの実績があるので,タミフルがダントツです.
イナビルとリレンザでは,吸入回数でイナビルがやや上回ったのでしょうか.
私自身は,いずれの薬剤も処方しています.
状態が悪い方にはラピアクタも使用し,切れ味が良い印象があります.
インフルエンザ患者に,抗ウィルス薬を投与すべきか?という大前提がありますが,
新型インフルエンザは呼吸症状の悪い方がいるので悩まされます.
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星野 (火曜日, 15 3月 2016 23:54)
B型インフルエンザに罹患して、様々なウェブページを見ましたが、このようにデータを示しての説明は、ここだけでした。とても説得力がありました。ありがとうございました!
K (木曜日, 21 2月 2019 18:48)
私もA型にかかっており、出社のタイミングを調べていました。このページはとても分かりやすかったので助かりました。