こんばんは,いし胃腸科内科の松原です.
今年のロタウィルス感染症のピークは過ぎましたが,
7月20日に2つ目のロタウィルスワクチンが発売になります!
その名は『ロタテック』!!
ちなみに昨年11月に発売されたのは『ロタリックス』でした.
ワクチンの紹介をする前にロタウィルスの特徴をおさらいします.
感染経路は主に糞口感染
1gの糞便中に1000億個のウイルスが存在します.
また,接触・飛沫感染の可能性も考えられます.
感染力が強い
1~10個のウイルスだけでも感染が成立する可能性があります.
安定したウイルス
物体の上でも最低数時間は感染力を持っています.
石鹸や一般的な除菌剤に対する耐性をもつものがいます.
症状改善後もウィルスは持続的に排出されている
発症後4~7日は糞便中にウイルスを大量に排出する.
ある試験 (n=37)では,30%の小児が下痢症状が始まってから
25~57日後にもウイルスを排出していた.
ロタウィルス感染症の流行時期
ロタウイルス感染症には季節性があり,12~5月の時期に多く,
2月から4月にかけてピークがみられます.
以上は,MSDのロタテック内用液のページからの情報を修正して記載しています.
それでは,すでに発売されているロタリックスとの違いは?
ロタリックス(1価ワクチン) 1回1.5ml
4週間隔で2回接種.生後24週までには接種を完了させます.
初回接種は生後6 週から生後14週6 日までに行うことを推奨.
ロタテック(5価ワクチン) 1回2ml
4週間隔で3回接種.生後32週までに接種を完了させます.
初回接種は生後6週齢以上とし,生後14週6日までに行うことを推奨.
1価とか5価って言われてもわかりませんよね.
実はロタウイルスってのは100種類以上のタイプがあるんです (@_@;)
しかし,ヒトがかかりやすいのは上の図にある5種類です.
G1P[8],G2P[4],G3P[8],G4P[8],G9P[8]
ロタリックスは,ヒトロタウィルスのG1P[8]を弱毒化したものですが,
残りのタイプへも交差免疫を持つ((似ているほかのウイルスにも
予防効果を示す))と言われ効果を得ています.
一方,ロタテックは,上記5種類に対するワクチンです.
ウシロタウィルスと遺伝子組み換えで作られたものです.
1回あたりの投与ウィルス量は多く,投与回数も3回になっています.
問題は,接種にかかる料金なんですよね.
これらのワクチンは公費負担ではないので,自費で接種となります.
当院では,ロタリックスが1回13,500円.2回で27,000円です.
札幌市内の病院,医院では,ほぼ近い価格で行なっています.
来週発売されるロタテックは1回9,000円,3回で27,000円を予定しています.
それでは,どちらがお勧めなのか.
どちらも優れたワクチンなので甲乙つけがたいです.
強いて挙げるとすれば,接種回数と接種時期(流行するまでの期間)でしょうか.
ヒトロタウィルスを弱毒化し,接種回数,接種量が少ないのはロタリックス.
流行時期直前であればロタリックス,抗体獲得まではロタテックよりも早いのでは?
単純に接種完了までが24週までに完了できるからですけどね (^^ゞ
逆に流行時期が過ぎた夏からの接種開始でしたら3回投与のロタテック.
32週までに完了とあるので接種の2回目や3回目が遅くなる方が,
でてくることが心配ですが,5価ワクチンという点が魅力的です.
接種時期別で比較した臨床試験があると分かりやすいのですが,
そのような計画はメーカーのデメリットにもなるのでやらないでしょうね.
過去の試験を解析することはできるでしょうけど発表しないかな?
当院ではとくに接種を勧めてるのは,0歳で保育園に入園される方,
上の兄,姉が保育園,幼稚園などに通園されている方です.
お子さん本人が園でかかるリスク,兄,姉が持ち帰るリスクがあるので,
接種しておくことをお勧めします.
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当院でのロタテックの採用日は決まっておりません.
決定後にホームページに掲載します.
ロタテックに関する問い合わせは掲載後にお願いします.
(7月20日記)
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ブログの図はすべてMSDのロタテック®情報サイトのものを使用しました.
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