各国の不活化ポリオワクチン接種スケジュール

各国の不活化ポリオの接種回数を表にしてみました.

 

参考にしたのは「ポリオの会」のワクチンについてのページにある

 

ポリオワクチンの各国と地域の状況(上記地図)と詳細」です.

 

改版C:2010年10月12日とありますので,現在の接種スケジュールと

 

異なっている可能性があります.

 

トータル4回が日本を含め13カ国

 

トータル5回が15カ国,6回が5カ国,7回は1カ国です.

 

初回免疫の3回は2ヶ月から始まり,多くの国が6ヶ月までに3回目を終了しています.

 

最も遅いのはポーランドで1歳4ヶ月で3回目を接種しています.

 

(ただしポーランドは4回目を生ワクチンで接種するので単純な比較はできません)

 

追加免疫は,1回~4回と様々です.なかには,生ワクチンと併用の国もあります.

 

日本と同じトータル4回接種の国をみてみましょう.スロヴェニア,スペイン,

 

日本が3回目の接種の半年から1年後に接種しています.残りの10カ国のうち

 

8カ国は,3~4年後に不活化ポリオを接種しています.

 

残りは2カ国はポーランドが5年後に生ワクチン,アイスランドが13年後に

 

不活化ポリオを接種します.

 

トータル5回の国をみてみます.追加免疫の1回目は,15カ国中10カ国が

 

初回免疫3回目の1年以内に行ない,追加免疫の2回目を2年半~9年後の

 

間に行ないます.生ワクチンと併用しているのはトルコです.初回免疫の

 

3回目と追加免疫の1回目を併用で,追加免疫の2回目は生ワクチンで行ないます.

 

残りの4カ国は,1年半~6年後に追加免疫の1回目を行ない,4~10年後の

 

間に2回目を行ないます.

 

トータル6回と7回は国々は,半年~1年後に追加免疫の1回目,4~6年後に

 

2回目,4~10年後に3回目,5年後に4回目のパターンです.

 

 

 

上の図で4回接種の国々の初回免疫の3回目と追加免疫を赤線で囲んだものが

 

下の図です.また,5回以上接種の国は1歳頃の接種と,4歳以降の追加免疫を

 

赤線で囲いました.

 

接種時期のスケールが2歳までが1ヶ月毎,2歳以降が1歳ごとなので

 

表では分かりにくいかもしれません.

 

そこで,月齢毎のグラフにしてみました. 左が4回接種,右が5回接種です.

 

縦軸は月齢で50ヶ月毎にラインを入れています.

スロヴェニア,スペイン,日本の3国は4回目の接種まで直線状になっています.

 

それに対し,その他の国は4回目で50ヶ月のラインの上下に集中しています.

 

また,5回接種の国は4回目まで直線状になっていても5回目でしっかり

 

48ヶ月(4歳)以上を超えるように接種しています.

 

各国の財政状況や使用できるワクチンが異なっているので一概に比較するのは

 

難しいかもしれません.さらに今後発売予定のワクチンとの関係もあると思います.

 

個別の対応をおこなって混乱を招くよりも,将来を見据えて(ポリオが根絶する?)

 

接種スケジュールを決めたのかもしれません.

 

 

 

ところで,昭和50年から52年生まれのポリオワクチンの接種はどうなったのか?

 

これまでこの世代の方は抗体保有率が低いため生ワクチンの接種が

 

推奨されていました.不活化ポリオワクチンが始まると必要がないとあります.

 

以下は,厚労省のポリオワクチンのトピックス平成24年6月1日の資料3より

 

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【質問内容】

昭和50年から52年生まれの方のポリオ抗体保有率が他の年齢層と比べて

低いとされ,子供の生ポリオワクチン接種時併せて接種することが推奨されたが,

不活化ポリオワクチン導入後,どのようにすべきか.

 

【回答】

不活化ポリオワクチンによるワクチン関連麻痺発生の恐れがないことから,

9月以降は,子供のポリオ接種時に昭和50~52年生まれのものに対して

ワクチン接種を推奨する必要はなくなる.しかし,流行地域等へ渡航される際は

今まで同様にポリオワクチン接種を推奨することとなる.

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生ワクチンではワクチン関連麻痺があることを認めた上で,不活化ポリオ

 

ワクチンへの導入が遅れていた(国産ワクチンを待って遅らせていた?).

 

このような経緯があると,今回のスケジュールにも疑問を持たざるを得ません.

 

多数決は必ずしも多数が正しいということはありませんが,医学の世界では

 

これまでの結果を元に,その時代のスタンダードが決まります.

 

もちろん数年後に世界中の接種スケジュールが変更になるかもしれません.

 

しかし,日本が先進国であるということを考えると,あえて追加接種を4歳以降に

 

しなかった,もしくは5回接種にしなかったことには疑問が残ります.

 

 

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コメント: 3
  • #1

    工藤  (木曜日, 13 9月 2012 07:00)

    ん・・・。
    頭の中がごちゃごちゃになってきました(笑)

    ところで、先生に一つお聞きしたいのですが、9月から全国で無料になった不活化ポリオワクチンといし小児科が個人で輸入していたワクチンは同じものなんですよね?

    追加接種は、どこの病院で打っても問題はないということでいいのでしょうか?

  • #2

    松原 央 (木曜日, 13 9月 2012 08:29)

    工藤さん

    かえって分かりにくくしたようですね.(^^ゞ

    これまで当院で接種していた輸入不活化ポリオワクチンは,
    サノフィパスツール社のイモバックスで,今週国内で発売された
    不活化ポリオワクチンと同じものです.
    ですので,定期接種の追加免疫はどの施設で接種しても問題ありません.

  • #3

    工藤 (日曜日, 16 9月 2012 11:28)

    先生、回答ありがとうございました。

    他の病院で不活化ポリオを無料前に打った友人が、無料になったので、近くの小児科に予約をいれたところ、小児科のほうから違う会社のものなので、今までの病院で打ってくださいと言われたということを聞き、ちょっと不安になってしまいましたが、問題ないようで安心しました。

    ありがとうございました